高齢障害者に関する世界の社会保障制度

International Perspectives on Long-Term Care.

はじめに

　高齢障害者への社会保障制度をいかに国民が納得する形で確立するかは，各国共通の課題である．特に，長期にわたるサービスの継続が求められるケアについては，歴史が語るように，各国さまざまな試行錯誤を経て，現在もより良い形へのたゆまぬ変革の努力が続けられている．そして今や，多くの国がそれぞれの経験を共有しあいながら，世界的な規模での将来予測に基づき，共に取り組む時期を迎えている．

　本稿では，介護保険制度を鑑み，社会保障制度のなかでも，特に高齢障害者に対する長期ケアに関連する制度に焦点をあてる．特徴ある制度を発展させてきたドイツ，デンマーク，イギリス，カナダ，アメリカの概況に触れ，世界動向について整理すると共に，そこから日本における今後の課題を考察してみたい．