連載 Journal Watch 海外の看護学研究から学ぶ・5
量的研究におけるアウトカムと説明変数の設定の難しさ
森 陽子
1
1東京医科歯科大学大学院看護システムマネジメント学博士課程
pp.627-629
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201191
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
今回のJournal Watchでは,Journal of Nursing Management(JNM)誌の第23巻4号,International Journal of Nursing Studies(IJNS)誌の第52巻8号,Nursing Research誌の64巻3号,Journal of advanced Nursing誌の71巻6号の論文が対象になりました。
その中で私が取り上げた論文は,台湾の急性期病院に勤務する看護師の離職意思を,「病棟からの離職意思」「組織からの離職意思」「看護職そのものからの離職意思」の3側面から検証しようとする量的研究論文でした。台湾の看護師の離職率は20%と高く,看護師の確保や定着の促進が社会的に取り組むべき課題となっています。諸外国でも,カナダ,USA,オーストラリア,デンマークの看護師不足数はおよそ2万2000人から100万人に上るとされており(Oulton, 2006;Currie, & Carr Hill, 2012),看護師の高い離職率の改善は,アジアのみならず,世界で取り組むべき課題といえます。看護師不足は職場環境を悪化させ,過重労働による健康被害や,仕事と生活を調和させた生活の質を低下させる可能性があることから,さらなる離職意思につながる恐れがあります。この悪循環を断ち切るためにも,看護師の離職意思に関連する要因を検討し,離職予防の対策に役立てることは意義があるといえます。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.