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第1土曜特集 MASLD/MASH――研究と診療の最新情報
病態
糖・脂質代謝異常とMASLD
Metabolic aspects underlying the pathophysiology of MASLD
粟澤 元晴
1
Motoharu AWAZAWA
1
1国立国際医療研究センター研究所分子糖尿病医学研究部
キーワード:
インスリン抵抗性
,
高インスリン血症
,
新規脂肪酸合成
,
遊離脂肪酸
Keyword:
インスリン抵抗性
,
高インスリン血症
,
新規脂肪酸合成
,
遊離脂肪酸
pp.352-356
発行日 2024年5月4日
Published Date 2024/5/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28905352
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脂肪肝はしばしば代謝症候群に合併して認められ,両者の共通基盤となる病態として肥満,エネルギー過剰状態に伴うインスリン抵抗性,高インスリン血症が存在する.インスリン抵抗性下においては脂肪組織からの遊離脂肪酸の流入が増加するとともに,肝臓そのものにおいても新規脂肪酸合成が亢進することから,肝臓に過剰な脂肪が蓄積する.肝臓の脂肪蓄積は高血糖とインスリン抵抗性を引き起こすことで,さらに高インスリン血症を助長し,全身のインスリン抵抗性が増悪するという悪循環が形成される.代謝症候群を有する脂肪性肝疾患(SLD)患者は動脈硬化のハイリスク状態にあるため,脂肪肝を合併した糖・脂質代謝異常症の治療にあたってはその背景病態を正しく理解し,高インスリン血症を助長しないような治療の選択が肝要である.本稿では,脂肪肝と代謝症候群が合併し動脈硬化のハイリスク状態となっていくメカニズムを,最新の知見を交えながら概説する.またこれを踏まえたうえで特に糖尿病医の観点から,患者の治療にあたっての留意点を述べる.
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