巻頭言
座位と視線
宮野 佐年
1
1東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
pp.101
発行日 1999年2月10日
Published Date 1999/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108893
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終末期医療を日本において早期から実施されている先生の講演を聴いたときに,その先生が「私は,患者さんに死を受容させる」とおっしゃった.すごいなと思った.私自身は患者に“障害の受容”さえさせることができないことが多々あり,自分の力の無さを痛感した.しかし,考えてみると,障害の受容はこの後いつまで続くのか,先が見えない話であり,別の視点から見ると,死の受容より受け入れ難い側面があるのかもしれない.
先の高名な先生の話のなかで「死を待つ患者さんと話をするときには,必ず患者さんの視線と自分の視線を同じ高さにする」,「患者さんがベッド上で坐っていたら,自分もベッドに腰掛けて視線の高さを同じにして話すことによって,患者と医師の関係を対等にし,患者が自分の気持ちを話し易い雰囲気を作ることに気を付けている」という言葉が印象に残っている.
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