巻頭言
在院日数の制限とリハビリテーション医療
大田 仁史
1
1茨城県立医療大学付属病院
pp.1017
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108794
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この10月からの診療報酬改定で,新看護体制の2対1看護は25日,2.5対1看護は28日,3対1看護は60日,3.5対1看護は90日と在院日数のしばりが実施されることになった.3対1(A加算,看護補助6対1)で努力してきた私どもの病院も当面3.5対1とせざるをえない.この厳しく非現実的ともいえる平均在院日数の規制に3対1看護は目くらましにでもあったように一瞬のうちに消えてしまった.これによって年度内数千万円の減収になる.当院の平均在院日数はどう頑張っても90日前後.重度障害者を受け入れると当然日数は延びる.3.5対1の請求も端から風前の灯に近い.同じような悲鳴は各地のリハビリテーション専門病院から聞かれ,急いで療養型病床群に移行した病院もあると聞く.ちなみに,日本リハビリテーション病院協会の調査ではリハビリテーション専門病院の平均在院日数は117日である.
看護料の変更は看護に対する経済評価とも言える.したがって,同じ看護をしていて,ある日突然看護料が下がるというのは,行ってきたそれまでの看護の質を無視されたともいえる.リハビリテーション専門病院には頸髄損傷や失語症を含む高次脳機能障害,嚥下障害などの重複障害をもった患者が多く,看護のケア度も高い.また,援助には実際に日数を必要とする.実は,やみくもに入院期間の短縮を図ることは,看護のみならずPT,OT,STなどリハビリテーション・スタッフ全体の仕事に対する無力感を生む恐れもある.
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