巻頭言
新しいリハビリテーションの流れ
石田 暉
1
1東海大学医学部リハビリテーション学教室
pp.105
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108587
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高齢社会を迎え,医療費を消費する側と負担する側の比率が悪化するなかで,わが国の医療に関する施策が目まぐるしく変わろうとしている.そのなかで大学病院に勤務しているものとして急性期医療の充実と入院期間の短縮に関する内容は切実なものとして受け止めざるを得ない.
最近,米国から私どもの大学を訪れたリハビリテーション医の講演で,米国におけるリハビリテーション事情,特に脳卒中のリハビリテーションに関して非常に興味ある内容が話された.米国ではご承知のようにいわゆるマルメ医療であるDRG(diagnosis related group)が多くの部分で採用されている.その結果,急性期病院の在院日数は極端に短縮され,彼が勤務するNew Yorkの病院での脳卒中を例にとると,平均10日から2週間で退院あるいはリハビリテーション施設への転院になる(それ以上入院していると経営上割に合わなくなる)とのことであった.それに付随する変化として,患者を受け入れてくれるリハビリテーション病院の医師に対しては以前にも増して愛想が良くなったと話していた.DRGは長い間の議論のなかでリハビリテーションや精神科領域などいくつかの領域は現在除外されているが,より早い時期にリハビリテーション施設に患者が移るという効果を米国ではもたらしている.その結果,従来よりもリハビリテーションの関わりが早くなり,発症から急性期医療を含めたトータルの入院期間は短くなったとのことだった.
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