書評
重森稔・片山容一・小林士郎 編―小児頭部外傷
平川 公義
1
1東京医科歯科大学
pp.441
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108375
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小児の頭部外傷に関しては,従来,わが国には成書がなかった.小児の外傷は,卑近かつ危急の存在である.路上,家庭内を問わず,一瞬の油断は受傷者周辺に恐怖と混乱を招く.CTは確かに診断法を変えた.モニターは病態把握の武器となった.そして死者は減ったか.それは医療の故か.子供の怪我ではどうか.救急医,外科医,脳外科医,小児科医は,自信をもって頭の怪我に対処できるのか.これらの疑問に答えるべく,経験豊富なわが国の神経外傷学を担う新進気鋭の第一線の学者・臨床家の共同執筆により「小児頭部外傷」が出版された.
本書の構成は,総論として,小児の頭部外傷の疫学,病理,分類,病態,プライマリーケア,診断法,各論として,頭蓋外の損傷,開放性・閉鎖性脳損傷,周産期外傷,合併損傷,ICU管理,後遺症,慢性期の治療,転帰の項よりなる.力点が置かれているのは,まず,頭部外傷なるものの概念の解説である.
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