書評
—大原健士郎 大野徹 著—アルコール中毒の治療と予防
額田 粲
1
1東邦大学医学部
pp.190
発行日 1977年3月10日
Published Date 1977/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205824
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数年前日本のアルコール対策費は米国の千分の一といわれていた。最近は日本の公衆衛生行政においても,アルコールについては相当に力をいれ出し,治療面では専門医の養成,リハビリテーションの面では対策指導員の研修を手はじめに,今年度からは一般社会に対する衛生教育についても予算がつくようになった。
アルコール中毒の対策で,最大のネックは何かと言えば,はなはだ言いにくいが医師をはじめとする医療職員全体のアルコール中毒に対する偏見である。正直に言って日本の医学ではアルコール中毒は現在のところ"病気"として取り扱われていない。そのためか,国立,公立病院ではアルコール中毒患者はほとんど入院していないという結果になっている。
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