巻頭言
3か月頑張ったら
新藤 直子
1
1国立療養所東京病院リハビリテーション科
pp.201
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108322
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「3か月頑張ったらまたいらっしゃい.」そういって退院を決めた患者さんが何人かいます.障害が重度で常時監視・介護を必要とし,医学的にもさまざまな問題を抱えていて,正直なところずっと病院にいたほうが安心かもしれない,けれどこの条件ならば何とか在宅生活が送れる可能性もある.そういったぎりぎりの選択をした人達です.なかには,本当は終生医療施設のほうがベターだけれど,年齢が若すぎて病院がなく,やるしかないという選択しかなかったケースもあります.
患者さんの状況もいろいろなら,家族の考え方・介護能力もいろいろです.そのいろいろな組み合わせのなかから退院の条件を探り,予測し,もてる能力・ネットワークを結集して,退院・在宅までもってゆくチームの力量も問われます.こうして数々のカンファレンスや家族面談,試験外泊,訪問指導,家屋改造や地域スタッフとの情報交換などを経て,それでも大きな不安を抱えている家族に,やってみようかとまず決心してもらうための,だめ押しの一言が,この「3か月経ったらいらっしゃい」です.
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