コーヒーブレイク
頑張ってほしい
Y
pp.538
発行日 1979年7月1日
Published Date 1979/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201870
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生まれ故郷の土地に新しく開設された医科大学の付属病院の検査部へ転任した技師の某君が,1か月ぶりに顔を見せた.10月に開院の予定で,それまでの準備を総勢5人でやらなければならないという."臨床の先生からは,あれもやれ,これもやれと,注文は山のようで,しかしとにかく10月に患者が来たときには,検査部としての受け入れられるような態勢を作らねばならないと,連日遅くまでやっています.ここは別世界のようですね."といつもの見慣れた顔で笑った.こちらにいたときも,対人関係の難しい職場で,随分と苦労してくれたし,新しい機械をルーチン検査にのせ,更に安定するまでに示した熱意と能力を持つ彼を新任地へ送ることは,有力なスタッフの一人を失うことになり,いささか躊躇せざるを得なかったが,逆にそのような彼であったからこそ,喜んで推薦できたわけである.
しかし,いくら有能な者でも,その能力には限度がある.国はかつての好景気の波に乗って叫ばれた無医村解消のかけ声とともに,1県1医学部(医大)構想のもとに,続々と新設医科大学をつくり始めた.確かに地域医療に大いに貢献することは事実で,だれでもこれを否定しないであろう.つくられた病院は,建物設備は確かに古い大学病院より立派である.
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