学会報告
第78回関東地方リハビリテーション医学懇話会―1994年9月17日(土),於:国立身体障害者リハビリテーションセンター講堂
初山 泰弘
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター
pp.633-636
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107908
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1.脳幹部・小脳梗塞により中枢性肺胞低換気をきたした1症例
慶応義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
藤原俊之・江端広樹・椿原彰夫・岡島康友・問川博之
慶応義塾大学医学部リハビリテーション科
千野直一
症例は54歳,男性.経過中突然の呼吸停止をきたし,人工呼吸器を装着.以後,漸次的にウィーニングを行ったが,人工呼吸器なしでは慢性的な高CO2血症を認め,特に夜間睡眠中の低換気,無呼吸の頻発が呼吸モニターの結果より明らかとなった.高CO2血症は随意的過換気により改善され,Sollidayらによる中枢性肺胞低換気症候群に一致した.そこで,在宅での管理に向けて,パルスオキシメーターによるSaO2の夜間モニターと日中の随意的過換気を実施し,人工呼吸器から離脱することが可能となった.脳血管障害の慢性期における持続的な呼吸異常として本症例のような中枢性肺胞低換気が起こることはあまり知られていなくて,報告もわずかである.脳幹部梗塞のリハビリテーション診療においては,本症候群は十分考慮すべき病態であり,定期的な動脈血ガス分析と過換気による変化等を調べる必要がある.
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