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特集 慢性腰痛
慢性腰痛症と体幹筋力―体幹筋力測定からみた慢性腰痛症の病態について
Chronic Low Back Pain and Trunk Muscle Strength: The Pathophysiologic Analysis by the Measurement of the Trunk Muscle Strength.
李 俊凞
1
,
大井 淑雄
1
,
中村 耕三
2
Joon Hee LEE
1
,
Yoshio Ooi
1
,
Kozo Nakamura
2
1自治医科大学整形外科
2東京大学医学部整形外科
1Department of Orthopedics, Jichi Medical School
2Department of Orthopedics, Faculty of Medicine, The University of Tokyo
キーワード:
腰痛
,
体幹筋
,
磁気共嗚画像
Keyword:
腰痛
,
体幹筋
,
磁気共嗚画像
pp.739-744
発行日 1994年9月10日
Published Date 1994/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107686
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はじめに
体幹筋力と腰痛を考えるにあたって,まず体幹筋の解剖と生理について簡単に復習しておきたい.体幹の運動には多くの筋が関与しており,それぞれの筋はいくつかの作用を持っている27).また同時にどのような運動も1つの筋に特有のものではなく,いくつかの筋が協同して体幹に必要とされる働きを可能にしている.たとえば体幹の伸展運動には主に多裂筋と脊柱起立筋が作用するが,腰椎部の主に腱として存在する最長筋と腸肋筋も重要な働きをし,また股関節を伸展させる大殿筋やハムストリングスも体幹の後方靱帯系を介して伸展筋として作用している.さらに屈曲筋である腹筋も胸腰筋膜を側方に引っ張り28),また腹腔内圧を上昇させる39)ことで伸展運動に作用する.
人間の筋はType1とType2の筋線維から成り立っており(表),その比率は筋肉により異なる.体幹筋はType1の筋線維が多く,静脈系が発達しているのが特徴であり19,32),持久力も他の筋に比し高いことから,疲労しずらく姿勢を維持する筋として適合していることがわかる19).
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