8．老人福祉法概論

はじめに

　老人福祉法はわが国における老人福祉事業の中核を成す法律であるが，老人福祉法のみによって老人福祉事業が実施される訳ではない．特定の法に規定されることなく行政通達に基づいて行われる事業や，個々の地方自治体の独自の施策として行われるものなど，多様な手段によって老人福祉事業が行われている．また，老人福祉法自体固定的なものではなく，社会の変遷のなかでその姿を変化させている．老人福祉法を理解するには，わが国における老人福祉行政の歴史的経過を概観し，さらに最近の老人福祉の動向を観察することが最良と考えられる．