Japanese
English
実践講座 リハビリテーション看護テクニック
2.頭部外傷患者
Rehabilitation Nursing of the Head Injured Patients.
片山 裕美子
1
,
大谷 順子
1
,
安田 佐知子
1
,
田村 キミ子
1
Yumiko Katayama
1
,
Junko Ohtani
1
,
Sachiko Yasuda
1
,
Kimiko Tamura
1
1近森リハビリテーション病院
1Chikamori Rehabilitation Hospital
キーワード:
リハビリテーション看護
,
頭部外傷
,
びまん性軸索損傷
,
問題行動
Keyword:
リハビリテーション看護
,
頭部外傷
,
びまん性軸索損傷
,
問題行動
pp.697-701
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107674
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はじめに
近年,医療の領域において救命技術はめざましい進歩を遂げ,事故発生時の救急処置,移送,病院での集中治療のおかげで多くの頭部外傷患者が救命されるようになった.頭部外傷の原因は,交通事故が最も多く,また受傷者の大部分は若年男性であり,社会的活動性の高い人が多い.そのため患者のみならず家族にも,経済的問題を含めた社会生活,家庭生活に破綻をきたすほどの著しい影響を及ぼすことにもなる.
当院は救急病院である387床の近森病院を親病院としている145床の都市型リハビリテーション専門病院である.近森病院には,年間平均180名の頭部外傷が搬入され,そのうち急性期を脱し近森リハビリテーション病院に転院する患者は年間平均約35名であり,救急搬入された頭部外傷患者の19.4%にすぎない.一方,近森リハビリテーション病院への入院患者は,脳卒中80%に次いで脊髄損傷と頭部外傷がともに7%となっている.
頭部外傷は脳血管障害とは異なり,病巣は広範囲でしかも複数の箇所に及び,運動機能障害にとどまらず,知的障害や行動異常をも含む複雑な障害像を呈する.このなかでびまん性軸索損傷(Diffuse Axonal Injury;DAI)はリハビリテーション上対応に苦慮する代表的なものであろう.しかしながら脳卒中や脊髄損傷に比べて,頭部外傷にはリハビリテーション上確立したアプローチは未だなく,まさに包括的なリハビリテーション・アプローチの真価が問われる分野といえる.関連多職種が関与するなかで,日常生活に密着している看護は,常に包括的なアプローチを目指さなくてはならない.以下,当院のアプローチを紹介する.
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