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はじめに
義足足部は無軸,単軸,多軸に分けられ,さらにエネルギー蓄積型足部が開発され1,2),入手可能なパーツは著しく増えてきた.選択肢が多くなったため,切断者の身体的状態と義足足部の力学的特性を考慮した最適な足部処方をするのは必ずしも容易ではない.切断者は最初に作製した義足の影響が大きいため,初回から最も適するバーツを選択することが大切である.単軸足とSACH足などの臨床比較は多くの報告があり3-6),近年は単軸足やSACH足と各種エネルギー蓄積型足部との比較検討も散見されるようになった7-10).
これらの報告の多くは一側切断者による検討であり,義足足部の特性に非切断側の下肢機能が組み合わさった結果である.両側切断では一側切断よりも義足足部に安定性が要求されるので,両側切断者にエネルギー蓄積型足部がどの程度適応があるかは明らかではない.また,エネルギー蓄積型足部を用いた下腿義足の研究は全てPTB式義足を用いた報告である.近年報告されてきた全表面荷重式(total surface bearing;TSB)義足では,ソケットが断端全体にフィットし密着性と圧分散性に優れ,そのためソケット自体に十分な懸垂力11,12)があり,PTB式義足よりもより早い歩行や走行に適していると予想される.しかし,このTSB式義足を用いてエネルギー蓄積型足部に検討を加えた報告はない.
そこで,両側下腿切断者にTSB式義足を処方する際,エネルギー蓄積型足部の適応があるか否かを明らかにする目的で,単軸足とエネルギー蓄積型足部の中で最も標準的なシアトル足1,7,13)を選択し,床反力計を用いた歩行分析と両足圧中心動揺,トレッドミル歩行による酸素摂取量と心拍数変化,Physiological Cost Index14),最大歩行速度および患者の主観的評価の面から比較検討した.
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