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特集 脳卒中リハビリテーションにおける合併症のマネージメント
脳卒中患者の尿路管理
The Urological Management for Patients With Stroke.
山田 薫
1
,
塩見 努
2
,
夏目 修
3,4
Kaoru Yamada
1
,
Tsutomu Shiomi
2
,
Osamu Natsume
3,4
1星ケ丘厚生年金病院泌尿器科
2ボバース記念病院泌尿器科
3奈良リハビリテーションセンター泌尿器科
4県立奈良病院泌尿器科
1Department of Urology, Hoshigaoka Koseinenkin Hospital
2Department of Urology, Bobath Hospital
3Department of Urology, Nara Rehabilitation Center
キーワード:
脳卒中
,
神経因性膀胱
,
尿路管理
Keyword:
脳卒中
,
神経因性膀胱
,
尿路管理
pp.1039-1043
発行日 1993年12月10日
Published Date 1993/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107504
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はじめに
脳卒中に起因する神経因性膀胱症例の尿路管理においては,尿失禁,頻尿あるいは排尿困難は患者自身にとって,また介護する家族にとってもっとも大きな悩みの一つであり,社会復帰を目的としたリハビリテーション治療の大きな阻害因子となりうる.一方,適切な指導,尿路管理により排尿状態がうまくコントロールされると,患者本人の自信が回復し,訓練に対する意欲の向上につながり,社会復帰が促進されることをしばしば経験する.腎機能の保護を目的とした治療,「生活の質」の向上を目的とした治療,いわゆる尿路管理の果たす役割は小さくないと思われる.
脳血管障害患者の障害の構造としては図1に示したように考えられる.四肢の機能障害と同じように,膀胱機能障害も程度はまちまちであるが,その発現した機能障害を受動的に能力障害としての「長期留置カテーテル」「常におしめ使用」の状態としてはいけない.機能障害を積極的に分析し,排尿訓練や薬物治療,外科的治療を駆使して能力障害を最小限にくいとめることが大切となる.「排尿の自立」が患者自身の自信を回復し,社会的不利(handicap)に至らない道となる.以下に膀胱カテーテルを抜去し,「おしめ」より離脱し,排尿自立を目的に薬物治療や外科的治療を行った症例の統計的観察を示し,われわれの考えについでべる.
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