Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
奇妙な人間の魂ふたつ―それはオリッサ姉妹の別れから始まる
宮本 省三
1
1高知医療学院
pp.625
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107410
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1895年2月13日,リュミエール(Lumiere)兄弟の手によって発明された映写機は,当初の名称を「キネマトスコープ(Kinematoscope)」といい,1895年3月22日,パリ・レンヌ街44番地にあるフランス産業振興協会で,最初のフィルム「リュミエール工場の出口」が上映されている.そして,7年後(1902年)のある日,1本のドキュメンタリーが撮影された.シャム双生児の分離手術のフィルムである.誰とも知らぬ者の手によって誰かのために記録されたこのフィルムは,今もひっそりと悲しげに存在している.
最近,このフィルムをパリのシネマテークで観た映画批評家の四方田犬彦氏は次のような言葉を残している.「カメラの前には6人の白衣の医師が群がっていた,2人が中央の手術台に置かれた一対の奇形児にせわしげにメスをふるい,残る4人がそれを静かに見守っている,という構図だ.赤ん坊は背中のところで切り取られ,2本の糸でてきぱきと患部を縫合されてゆく.3巻物のフィルムが終るころ,黒字の短い字幕が入った.“デウディカはただちに死に,ラディカは後に結核で死んだ”と.」
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