Japanese
English
特集 骨関節疾患―術前術後のリハビリテーション
下肢―股関節,膝関節
Pre- and Post-operative Rehabilitation of the Lower Extremity: Hip and Knee.
岡本 連三
1
Renzo Okamoto
1
1横浜市立大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Yokohama City University, School of Medicine
キーワード:
リハビリテーション
,
股関節
,
膝関節
Keyword:
リハビリテーション
,
股関節
,
膝関節
pp.573-578
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107399
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はじめに
股・膝関節の障害の3要素は可動性の障害,安定性の障害,疼痛と言われている.手術と術前・後のリハビリテーションはこの3障害を解消することにあると言える.膝障害の全治療経過中,特に術後のリハビリテーションは75%の大きな役割を占めるとAndrews(1978年)は述べている.これは股関節についても同じである.術前のリハビリテーションでは①術前評価,②温熱療法による除痛と関節周囲組織の柔軟性の改善効果を利用して関節の拘縮を除去し,③下肢筋力の増強訓練および④術後使用する歩行補助具の使用訓練,⑤ベッド上動作のための上肢・体幹筋力増強訓練,⑥減量などが行われる.外来段階で③,⑤,⑥の指導は重要である.術後のリハビリテーションでは早期より可動域増強訓練,筋力増強訓練,移動動作訓練を疼痛が生じない範囲より始めていく必要がある.特に可動範囲の大きな膝関節では術後早期(約1週間以内)に90度を越える屈曲角度を獲得することが必要である.それは日本の生活では,正座といわずとも横座り程度の膝屈曲が時に必要となるし,バスや電車など低い座席から立ち上がる時には110度以上の屈曲が要求されるからである.
股・膝障害をきたす疾患は多数あるが,先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全などから二次性に生じる変形性股関節症,また近年高齢化社会の形成から増加傾向にある変形性膝関節症や慢性関節リウマチにおける膝障害を中心に,その術前・術後のリハビリテーションを述べる.
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