書評
ドナR. ファルヴォ 著,津田 司 監訳―上手な患者教育の方法
小野 宏
1
1愛知県心身障害者コロニー中央病院児童精神科
pp.209
発行日 1993年3月10日
Published Date 1993/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107312
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患者の「不心得」に怒れる方への福音の1冊
患者は治りたくて受診するはずである.それなのに医者の出す「治るための指示」に従わないことが,あまりにも多すぎる.一体どういうことなのであろうかと怒ったり,悩んだりする.これは患者のほうが不真面目であったり,物わかりが悪いせいなのであろうか.われわれは,治るためなら患者はどんな犠牲でも払うはずだと思い込んでいるから,何をするかを伝えさえすれば,それで十分と信じているのである.したがって,自分の説明や説得の仕方についての技術的検討はあまりしたこともないのである.だから,こちらは説明したつもりなのに,あとで聞いてみると「わからなかった」と言われることも多いし,指示も「守らなかった」(あるいは「守れなかった」)ということにもなろう.
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