書評
津田 司・新津ふみ子 編集―在宅ケアマニュアル
荒井 節子
1
1大和町ホームケアステーション・新潟県南魚沼郡
pp.220
発行日 1993年3月10日
Published Date 1993/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107316
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本書は,わが国の在宅ケアを各地で先駆的に手掛けてきた多職種の専門的実践者が執筆者となっており,その内容は医学・看護学の知識・技法に止どまらず,人間の社会生活に必要な多様な視点を持つ内容が網羅されている.編集者たちが「在宅ケアを行う場台は従来の医療のように,患者個人のみを診ることは許されず,介護者や家族・住環境などにも目を向ける必要がある」と述べているところに,本書の根底があるからだ.
内容は,第1章で「チームアプローチ」を解説.在宅ケアを要する患者・障害者・老人とその家族をホストとしていかにサポートケアするか,その目的とケアチームとしてのチームのあり方が学べる.そして第2章では「ケア・コーディネーションの視点から社会資源の活用」を解説しており,保健・医療・福祉そして住民と幅広い視野の活動を要求される在宅ケアの取り組みに,まず本書としての導入がある.さらに,在宅ケアを進めていくうえで必ず遭遇するさまざまな場面や問題を含め,全16章に構成されている.それは,編集者たちの想いどおり「これからの在宅ケアを始めようと考えている人や,既に在宅ケアに取り組んでいる人にも」きちんと答えてくれる実践からの確かさがある.
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