巻頭言
医療短期大学4年制化について
近藤 和泉
1
1弘前大学医療技術短期大学部理学療法学科
pp.3
発行日 1993年1月10日
Published Date 1993/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107263
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前腕の筋の神経支配の説明を終えて,後ろを振り返ると,教室の後ろで学生が3人ばかり寝ている.自分の学生時代のことを思うと怒る気にもなれず,思わず苦笑いしてしまった.あの頃は,「つまらない講義をするから,こっちも眠くなるんだ」などと勝手な理由をつけて,おおいばりで寝ていたような気がする.あれから十数年経って,今度は自分のほうがしっぺがえしをくらっているのだから,困ったものだ.
医療短大の教官になってから,1年半になる.講義をはじめて最初の頃は,教室に入るのが少し恐かった.なぜなら自分の話すことが本当に学生に理解してもらえるのか自信がなかったからだ.何の因果か,医学部の学生の頃に,追試,追試と責めたてられてさんざん苦しんだ神経学を担当することになったのも,もう一つ別な理由かもしれない.まさに天網恢恢疎にして漏らさずで,あまり勉強もせず,お情けで単位をもらったのが,仇となったようだ.お陰様と言うべきか,もう一度教科書を読み直すはめになってしまった.もっとも今度は自分が講義をするわけだから,学生の時とは違い,おざなりではなくそれこそ必死の思いでノートを作り,肉づけのための文献漁りをしているうちに,神経学の勉強が面白くなってきたから不思議なものである.1年たって講義に慣れてきたこともあり,最近は各種の神経疾患のリハビリテーションの進め方などにも触れる余裕もできてきた.
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