書評
日野原重明・柄澤昭秀 編―老人医療への新しいアプローチ 全人的評価とケア
三宅 貴夫
1
1太田綜合病院付属太田記念病院
pp.758
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107153
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今日,医療の現場において老人を診療する機会はますます増えている.しかし,老人の患者は若年の患者と違い,老化による機能の低下を伴っており,疾患の症状や治療の方針も当然異なるものである.老人の生理と病理を正しく知ることが,老人医療の第1歩である.また老人は避けることができないと身近に感じている死を迎えつつある人である.このことからも老人医療のあり方は異なるであろう.さらに老人を人間として医療者がどのようにみるかといった老人観も,老人医療を左右する.このようなことを踏まえていないことには,老人にふさわしい老人医療は行われないであろう.
「老人医療への新しいアプローチ」は,副題の「全人的評価とケア」が示すとおり,老人を老いても一個の人間とみなし,臓器で分断して老人をみることを避け,身体面,精神面,社会面さらに倫理面を総合した全体的な視点から評価し,それに基づいたケアを実践していくことを目指したものである.
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