書評
植村研一 著―うまい英語で医学論文を書くコツ
多田 富雄
1
1東京大学医学部・免疫学
pp.33
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106983
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ある国際誌のeditor-in chiefをしている関係で,私は毎日のように新しく投稿された論文に目を通す.その中には,すばらしい仕事なのだけれども英文がまずいためにrejectされてしまうものも時々ある.必ずしも日本人のものとは限らない.英語国民が書いたものでも,イライラしながらでないと読み通せないものがある.何故だろうか.
植村教授のこの本は,そういう問題点の発見から始まっている.永い滞米体験,その間に少しずつ体得していった重要なノウハウ,そしてやはり英文誌のeditorとして日本人の論文の添削を続けてきた経験をもとにして,一流雑誌にacceptされ得る英語論文を書くための実践的なアドバイスをこの1冊に凝縮した.沢山ある類書と違うところは,文化的背景の差からくる日本語と英語のロジックの違いを指摘しながら,日本語のロジックを英語のロジックへと転換するための最少ルールを示していることである.
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