学会報告
第24回北陸リハビリテーション医学集談会―1991年3月24日,於:金沢市文化ホール
立野 勝彦
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1金沢大学医療技術短期大学部理学療法学科
pp.81-87
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106996
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1.緩徐進行性失語症の1例
症例は62歳,右利き女性.小卒で職業は撚糸工.発症は昭和62年頃から徐々に言語障害が出現.医学的には高脂血症が指摘されている.MRIでは左側頭葉萎縮,両側脳室拡大,T2強調像で両側脳室周辺および深部白質,被殼にhigh areaが認められる.SLTAの結果や発話の誤りの検討から,運動失語と伝導失語の混合型と考えた.WAISではVIQ=60以下,PIQ=97,FIQ=62.失行・失認については,口部顔面失行のみが認められた.現在でも日常生活能力は,言語面を除けば十分保たれており,WAISのPIQの結果からも痴呆とは言いがたい.本症例は運動失語と伝導失語の特徴を示した痴呆を伴わない緩徐進行性失語症に相当した.
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