書評
大江健三郎・正村公宏・川島みどり・上田敏―自立と共生を語る 障害者・高齢者と家族・社会
小川 孟
1
1横浜市総合リハビリテーションセンター
pp.47
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106709
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「今日は本当にいいお話をうかがいました」と,上田氏が大江氏との対談の最後でいっておられる.この本全体を読み終わっての感想がまさにそうである.私は話に聞き入り,時にうなづき,時に自分の思いをつぶやき,ふとかつてのクライエントやその家族に思いをはせるなどしながら,あたかもその場に陪席しているような錯覚さえ感じた.
この種のものにありがちな,“時間が限られているので”とか,“紙面の都合で”といったあわただしい雰囲気がないのもいい.人間が負うには重すぎるとさえ思われるテーマが,ゆったりと,静かに話し合われていく.
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