書評
大川嗣雄(横浜市立大学リハビリテーション科科長)・他 著―名著「車いす」出版を祝して
天児 民和
1
1九大
pp.595
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106568
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車椅子は歩行困難な人達には不可欠で,此車椅子を利用すると社会復帰も容易となる.然し車椅子の詳しい解説書が今回大川先生等の御努力で出版せられた事は慶賀すべきと思うのは私一人ではない.私の半世紀を越える医師としての歩みを顧ると,昭和初期には九州炭坑では脊髄損傷が多発した.そのため此方面の研究を命ぜられ苦労していたが,戦争が激しくなり私も召集を受けた大阪陸軍病院を経て東京第一陸軍病院の脊髄損傷病棟の主任を命ぜられた.それは昭和16年の事であったが患者は80名以上収容せられていたが車椅子は10台しかなく,其上廊下にも所々に段差があって充分な車椅子訓練も出来ず又私自身も車椅子に対する充分な知識もなく,参考にする書物もなかった.
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