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特集 リハビリテーション医療と倫理
リハビリテーション医療と倫理
Medical Ethics and Rehabilitation.
今田 拓
1
Hiraku Imada
1
1東北文化学園
1Tohoku-Bunka Gakuen
キーワード:
自己決定権
,
説明と同意
,
パターナリズム
Keyword:
自己決定権
,
説明と同意
,
パターナリズム
pp.163-165
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106226
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脳死の次にくる問題
近年,“医療の質”の評価が問われ,医療をめぐっての倫理問題が脚光を浴びるようになった.脳死,臓器移植,人工受精,遺伝子組み替え,さらに生体肝移植,医薬品の臨床試験実施の適正化問題1)など,生,死,性2)に関する人間にとっての基本問題について社会的検討の要請が高まってきたことは,関係者ならずとも,すでに一般社会的課題として知られている事柄である.これらの問題を理解するための科学的,学際的な背景はまことに広く,そして深く,技術的な難しい問題も山積しているのであるが,問題が社会的に高い関心事として扱われるに至る過程においては,それは人間とは3),という命題を考えるための,「生と死」というような極限的場面設定手段として極めて単純で,分かりやすいことであるからと筆者は考える.しかし,通常の医療の現場において,このような極限に属する問題はそれほど頻繁に起こっているわけではない.いや,むしろ特別な環境が設定されない限り,おおかたの医師の遭遇する機会は稀といってよいはずである.むしろこのような問題を中心にして,その周辺の倫理的課題が,これから急速に拡大されて行く可能性を秘めていることを踏まえていなくてはならないのである.
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