追悼
リハビリテーション医学の先達 原武郎先生を偲びて
天児 民和
1
1九州大学
pp.816-817
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106151
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原武郎氏は昭和4年の誕生で,佐賀高校を経て九州大学に入学,教養課程を修了して医学部に進み,昭和30年に卒業し,インターンを修了して整形外科に入った.日本手の外科学会が昭和32年に設立せられたが,私の教室ではその数年前から手の機能の研究を開始していたので,原君にも手指の運動機能の研究をしてもらった.彼は熱心に研究を開始して指の伸展機構に関する論文を発表,医学博士の学位を授与せられた.そして,手の機能の研究により手の機能に障害のある人たちに接触することが多くなり,次第にリハビリテーションの研究に踏み込んできた.
当時,九州労災病院では内藤三郎院長がリハビリテーション部の整備に情熱をもって努力せられていた.例えば,作業療法の機械は市販されていなかったため,職員を激励して各種の機械を作製せられていたが,原君が昭和35年に九州労災病院のリハビリテーション部に入ると同時に,その活動を開始してもらった.期待に背かず努力せられ,昭和36年に世界リハビリテーション基金が留学生を募集していた際,その選抜試験に見事に合格して,ニューヨーク大学のリハビリテーション研究所に勤務,3年間,熱心に修練せられてラスク教授からも信頼せられた.そして,帰国後,九州労災病院のリハビリテーション部を更に整備され,院内では独立した分科として育成された.
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