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はじめに
人口の高齢化が進行する中で,今後ますます老人のリハビリテーションサービスの需要が増大することが予想される.リハビリテーションサービスが行われる場としては,病院などの医療機関のみならず,老人ホームや特別養護老人ホームなどの福祉施設,保健所や市町村レベルで行われる訪問事業などがあり,内容としては,系統的で,しかも多様なきめ細かいサービスが要求される.
老人に対するリハビリテーションサービスの第一歩は,種々の疾患の結果おきる障害(disability)に対して行われることが多いため,病院でスタートすることがほとんどである.病院でリハビリテーションサービスを進める上で最も重要なことは,リハビリテーション部門以外の他のスタッフ,特に医療スタッフとの連携である.リハビリテーション部門以外の医療スタッフのリハビリテーションサービスにおける役割としては,第1は,impairmentのある老人の発見者としてのそれである.リハビリテーションの必要性を認めて,病院内のサービスシステムへ組み込む人,つまりリハビリテーション部門へ依頼してくれる人が必須である.第2は,リハビリテーションを進める際の協力者としての役割である.すなわち,患者の持つdisabilityを理解し,訓練・指導に協力すること,リハビリテーションにおけるアプローチを病棟生活でも生かすこと,リハビリテーション上の問題について情報交換・調整すること,などがあげられる.このようにリハビリテーションに関する病院スタッフの理解は極めて重要な問題であるにもかかわらず,これに関する調査や研究はこれまでのところ行われていないようである.
東京都老人医療センターは設立後14年(調査時の昭和61年11月現在)を経過し,今後の老人医療のあり方について見直しを行っているが,その一環としてリハビリテーション部門でも,老人リハビリテーションのあり方を検討する必要に迫られた.そこで,東京都老人医療センター内の全職員がリハビリテーション部門をどのようにとらえているか,その実態を把握し,今後の参考にするための資料を得るために調査を行った.本稿は,この調査結果のうち医師と看護婦に関するものをまとめたものである.
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