Japanese
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講座 リハビリテーションのための統計学(1)
統計の考え方,統計的な考え方
Statistics for Rehabilitation Professionals (1). Statistic Way of Thinking.
砂原 茂一
1
Shigeichi Sunahara
1
1国立療養所東京病院
1National Sanatorium Tokyo Hospital.
キーワード:
統計学
,
無作為化
,
臨床試験
Keyword:
統計学
,
無作為化
,
臨床試験
pp.567-571
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105862
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Ⅰ.医療者と統計学
一人一人の人間の存在感は大きい.そして一人一人の顔が異なるように,一人一人の人間は特異な存在である,アメリカの生化学者Williamsに“You are eatraordinary”(あなた方は一人一人が特異―例外である)という本があるがまことにその通りに違いない.その上,医療者は人間のクリチカルな場面に立合わざるを得ない立場だから,一人一人の人間の一つ一つの場面に強烈な印象をもつことは避け難いことであるというべきであろう.わが国にRA Fisherの推計学(推測統計学),実験計画法をはじめて導入した増山はかつて私との“臨床医学と推計学―どう関わりあうか”という対談(砂原・増山1))の中で“お医者さんは特異なもの,異常なものに強い印象をもちやすい”といい,そのせいで統計的な考え方になじみにくいのだろうとしている.
先ごろある医学雑誌の500号記念号の座談会に引っぱり出された(砂原2))が,その席上で一人の中堅の呼吸器病学者から“先生はほんとうにタバコで肺癌になると考えておられますか”と詰め寄られた.疫学的,統計学的に,タバコと肺癌の因果関係は疑うことはできないけれども,ヘビースモーカーで肺癌にならない人が何人も医療者の前に立ち現われるし,一方タバコを見るのもイヤだという人が何の因果か肺癌になって病院に担ぎ込まれるのを医者は時には見ているはずである.
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