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はじめに
島根県は総面積6,626.85km2(都道府県別第19位),人口79万4,629人(60年10月1日,同46位)で,東西に細長く広い山間地をもつ.面積の79%が山林でおおわれ,耕地面積は8.8%にすぐない.また日本海上80kmには隠岐群島という離島がある.
交通も不便で,朝,バスを乗り損なうと夕方まで便がなかったりするような,助成金を受けてようやく維持されているバス路線が多い.またどうにか自家用車が使えたとしても,冬期には深い積雪で道路も閉ざされている.頼りとする生活路線の国鉄も「合理化」の危機にさらされている.
かつて島根の産業の主流であった木炭生産もエネルギー政策の変換により行きづまり,減反の生産調整で農業の前途にも明るい展望ももてなくなってきた1).若年労働人口は都市へ流出し,出生率の低下,相対的に65歳以上の老人の占める割合は15.3%と全国一の老人県である.県人口が最大であったのは1955年(昭和30年)の92万9,066人である.これ以降,年々急激な人口減少を続け,県民歌には「90万人の県民が…」と唱われていたが,現在少し持ち直したもののいぜんとして人口70万人台に落ちこんだままでいる.
本稿でとりあげる過疎地域とは,1970年(昭和45年)過疎地域対策緊急措置法(通称:旧過疎法)が制定され,さらに1980年(昭和55年)度から新しい過疎法が制定されたが,この法律が適用される地域と定義した.つまり国勢調査人口が15年間に20%以上減少し,かつ財政力指数が0.37以下の地方公共団体で,1980年現在,全国で1,119市町村,島根県では全市町村のほぼ3分の2にあたる40町村が過疎地域として公示されている2).
島根県の過疎地域にリハビリテーションは根づいているとは言えない状況にあるが,その現状を報告し,さらに過疎地のリハビリテーションシステムのあり方について私見を述べてみたい.
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