Japanese
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講座 リハビリテーションと心理(2)
リハビリテーションにおける行動科学的アプローチ
Behavioral Approach in Rehabilitation Medicine.
大橋 正洋
1
Masahiro Ohashi
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンターリハ医学科
1Department of Rehabilitation Medicine, Kanagawa Rehabilitation Center.
キーワード:
行動科学
,
行動療法
,
行動変容
Keyword:
行動科学
,
行動療法
,
行動変容
pp.631-636
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105650
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はじめに
フロイトによる精神分析学の立場にたつと,人間を動かしている大きな力は深層心理である.したがって心,すなわち言語化された意識を研究すれば人間が研究できると考える.いっぽう,パブロフの研究に始まる反射論の立場にたつと,心というものをあえて考えずとも,環境に対する反応(行動)の研究から人間が探れるとする.千葉1)は,一見対立しているような両者も,真実を知るために必要な相補的な概念であるとしている.
行動科学は後者に属する学問であり,ことに行動の定義が「人間のしめす動作のうち,外部から観察あるいは頻度を計測できるすべてのもの」とされており,きわめて自然科学的,実験的色彩が強い.この学問の実用性については,病的行動や医学的問題の治療に対してだけでなく,社会的な問題(人種間の対立,環境汚染,都市交通,政府の機能,刑罰,経済原理,雇用)に対する適用が米国において検討されている2).このような大量の研究に引きかえ,行動科学あるいは行動療法という言葉はわが国において比較的馴染みが薄い.
本編では,行動科学について,その歴史的経過を簡単に述べるとともに,これがリハビリテーションの実践においては無視することのできない概念であることを紹介する.
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