特集 医療・医学の課題としての身体合併症
特集にあたって
八田 耕太郎
1
1順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニック
pp.575
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205608
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近年の「精神疾患」の著しい増加に伴い,厚生労働省は2013(平成25)年度の第5次医療計画から4疾病に精神疾患を加え,「5疾病5事業」として重点化した。しかし精神疾患・身体疾患併存あるいは身体疾患起因の精神症状としての身体合併症の医療問題は歴史をはるかに遡る。東京都は1981年から,精神科病院入院中の患者を対象に精神科患者身体合併症医療事業を開始した。治療への協力性の問題が生じ得る一部疾患への心配という一般医療側の不安が根強かった時代における現実的施策であったと言える。時を経て,精神疾患は一般化され,卒前・卒後教育の成果として若手医療者の姿勢は好ましい方向に変化している。
このような情勢において,身体合併症医療はどのような形になっていくべきか。長年の懸案である病識欠如・現実検討能力障害ゆえの身体治療拒否に対する合意形成はどうすべきか。さらに,各種疾患と精神疾患との関連を示唆する研究成果が疫学的にも生理学的にも蓄積されつつある現在,5疾病5事業の各領域との協働はいかにすべきか。
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