特集 精神分裂病の遺伝因と環境因
巻頭言
特集にあたって
笠原 嘉
1
1名古屋大学医学部精神医学教室
pp.672
発行日 1979年7月15日
Published Date 1979/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202951
- 有料閲覧
- 文献概要
この特集の意義や目的については多言を要しないと思う。遺伝と環境。生物的要因と心理・社会的要因。この両面への配慮を必要とする程度が分裂病とよばれる病態において,とりわけ高い。そう考えることに対し,今日おそらくかなりの数の精神科医の賛同を得られるのではないだろうか。臨床経験の質や研究上の立場の違いから,以上の二つのどちらかにより多く重心を移すということはあるにしても,である。ところが,筆者の識るかぎりでは,この両面を均等に扱った著書や論文は意外に少ない。このような特集に意味があると考えた所以である。
企画に際しては,井上英二,飯田真,牧原浩,三先生の御参加をたまわった。深謝申し上げる。とくに井上教授には全篇を御通読いただき「結語に代えて」を御執筆いただいた。遺伝学者の立場から今後になされるべき遺伝と環境の統合の仕方について有益な示唆をいただいたことは感謝にたえない。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.