Japanese
English
症例報告
前頭側頭型痴呆(ピック型)におけるデイケア活動の試み―問題行動への対応を中心に
A Day Care Program for a Patient with Fronto-temporal Dementia (Pick type): Mainly for Her Disinhibited Behavior.
酉川 志保
1
,
池田 学
2
,
繁信 和恵
2
,
原 智美
1
,
西川 洋
1
,
小森 憲治郎
2
,
田辺 敬貴
2
,
松井 博
1
Shiho Torikawa
1
,
Manabu Ikeda
2
,
Kazue Shigenobu
2
,
Tomomi Hara
1
,
Hiroshi Nishikawa
1
,
Kenjiro Komori
2
,
Hirotaka Tanabe
2
,
Hiroshi Matsui
1
1財団新居浜病院
2愛媛大学医学部精神科神経科
1Zaidan Niihama Hospital
2Department of Neuropsychiatry, Ehime University School of Medicine
キーワード:
前頭側頭型痴呆
,
ピック病
,
デイケア
,
問題行動
,
前頭葉障害
Keyword:
前頭側頭型痴呆
,
ピック病
,
デイケア
,
問題行動
,
前頭葉障害
pp.477-481
発行日 2000年5月10日
Published Date 2000/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109234
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はじめに
前頭側頭型痴呆(fronto-temporal dementia;FTD)とは,病変が前頭―側頭葉に限局し,それに由来する臨床症状を呈する変性疾患群であるが,明らかな記憶障害や視空間認知障害を欠くことが特徴的である1).神経病理学的には前頭葉変性症型,ピック型,運動ニューロン型の3タイプに分けられ,いわゆる前頭葉優位型ピック病はFTDのピック型に相当する.
FTDの場合,考え不精や無関心,脱抑制,常同行動等のため,家人や医療スタッフは対応に苦慮することが多い.当デイケアにおいても,参加当初は常同的,脱抑制的な行動への対応に困惑することが多かった.しかし,これらの問題行動はデイケアプログラム導入の工夫を図ることで次第に消失し,デイケア内での新たな行動パターンを獲得し,落ち着いていく症例が多く見られた.
今回,発症初期のFTDの女性症例を通して,デイケアの効果により消失・軽減した問題行動,新たに生じた行動パターン,それらへのスタッフの対応について若干の考察を加え報告する.
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