Japanese
English
講座 合併症の障害学(1)
リハビリテーションにおける合併症
Complications in Rehabilitation Medicine.
安藤 徳彦
1
Norihiko Ando
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
1Kanagawa-ken Rehabilitation Center.
キーワード:
二次的合併症
,
immobilization
,
deconditioning
Keyword:
二次的合併症
,
immobilization
,
deconditioning
pp.547-549
発行日 1984年7月10日
Published Date 1984/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105204
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はじめに
病院内で行われるリハビリテーションに限定して障害を分類すると,一次障害と二次障害があって,前者は疾病に固有のすべてのもの,たとえば脳卒中における片麻痺,失語症,同名半盲などであり,後者はこの一次障害に基づいて発生するもので,たとえば関節拘縮,肩関節亜脱臼,筋萎縮,褥創などであるとItoh1)は述べている.我が国では,これらは二次的合併症と呼ばれることがむしろ多いのであるが,以下に,この二次的合併症についていささか述べてみたい.
その原因として最も多く見られるものは,疾病や外傷によって長期間臥床生活を余儀なくされた場合が先ず挙げられる.またギプスや装具などで固定された場合も二次的合併症は特に発生しやすい.更に麻痺性疾患への罹患は特に合併症を発生させやすい.一方特別な疾患の有無にかかわらず同一姿勢を長期間に渡って取り続けることもいくつかの合併症の原因となる.例えば分裂病患者や拘禁者の下肢の屈曲拘縮や筋萎縮などがその例として挙げられる.我々が経験することは稀であるが,無重力状態での筋萎縮その他も二次的合併症の特殊例に挙げられている.いずれにしても,生活の活動性が低下した状態がある期間以上続くと,そのことを原因として,いくつかの合併症が発生し得るものであり,その中には原因疾患よりも回復が困難な状態に陥るものもあるので予防が重要である.
長期間に渡り日常の活動性を拘束されたために起こるこれらの合併症については,Steinberg2)の著書に詳しいが,Vallbona3)もそれを紹介して概説している.表1はこれを整理したものであるが,以下,表の順序に従って解説する.
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