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はじめに
末梢神経の障害は,中枢性障害に比べて障害のレベルや程度の評価が,より客観的,数量的に行われやすく,徒手筋力テストや知覚テスト,関節可動域テストと定型的手段をもって表現される.初期治療は勿論,合併症の予防等その機能障害(Impairment)に対して,早期,適切な治療が運動療法などとともに行われても,神経再生による筋力の回復が限界にきた場合は,何らかの形で能力障害(Disability)を残すため,日常生活動作能を高める方法として,
1)筋線維自体の強化
2)共同筋による代償動作能の獲得
3)装具,スプリント,自助具などの補装具作成・使用
4)知覚の回復
をはかり“第2の眼”として役立ちうるよう再教育・訓練を行うことが重要な点である.
これらのいわゆるリハビリテーション的手段による能力障害の改善と相まって,外科的アプローチをもって,その残存機能を活用した,よりusefulな機能の改善をはかる再建手術は数多く行われている.
特に上肢関節可動筋群の麻痺に対して,機能再建術の手技は数多く考案されている.再建の目的は,関節運動能の再取得により,その能力障害の程度が軽減あるいは改善され,ハンディキャップ(Handicap)をできるだけ克服し,能力を最大限に回復させるのが,再建術の目標と言えよう.再建外科(Reconstructive surgery)は医学的リハビリテーションの治療経過の一手段として考慮することもでき,「Surgical rehabilitation」として重要な位置を占めると考える.従って,リハビリテーション医にとって,術前・術後の評価,訓練処方は勿論の事,主な手術法については,機能解剖の知識の上に立って理解されることこそ大切であろう.以下順をおって主な再建法について述べる.
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