発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009224979
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血管穿刺による末梢神経損傷の予防対策、事故発生時の対処マニュアル実施以降(2005年3月)の当院の現状を報告した。2005年4月~2008年3月での血管穿刺時に末梢神経損傷を併発して整形外科を受診した23例(男9例、女14例、年齢25~74歳)を対象に調査した。発生数は2005年度12例、2006年度5例、2007年度6例で、受診科別では救急外来3例、一般外来16例、検診センター4例で、穿刺者は医師4例、臨床研修医5例、看護師14例で、医療行為は静脈採決13例、動脈採血2例、静脈注射4例、点滴3例、中心静脈栄養(IVH)挿入1例であった。部位は手関節部6例、肘関節部16例、鎖骨下1例で、マニュアルでの禁止部位穿刺が52%もあった。神経損傷は肘関節部では正中神経6例、尺骨神経3例、橈骨神経浅枝2例、前腕内側皮神経3例、前腕外側皮神経2例で、手関節部は全例橈骨神経浅枝で、鎖骨下は腕神経叢であった。発生~整形外科受診の日数は当日6例、1週以内14例、1~2週3例で、全例に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とビタミンB12投与による保存的加療を行い、転帰は完全治癒21例、転帰不明2例で、治療期間は7~100日であった。以上より一定の効果は認めたが、医師および看護師の持続的教育が課題と考えた。
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