巻頭言
リハビリテーションの未来像
川村 次郎
1
1大阪労災病院リハビリテーション診療科
pp.243
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104924
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筆者の勤務する労災病院は最近開院20年目を迎えた,めでたいことであるが,20年の歳月は建物を老朽化し,設備の陳腐化も否めなくなってきた.20周年の記念式典と前後して,リハビリテーション部門を含む大規模な改築計画が具体化しはじめ,筆者もリハビリテーション部門の将来計画を早急に立案するよう求められている.
十余年前にも筆者は市立病院の新築移転計画に参加したが,リハビリテーション部門については手本をアメリカに求めることができた.今日のアメリカは各地のリハビリテーションセンターを縮小する噂を耳にし,Rancho Los Amigos病院が近く閉鎖されるのだとさえ聞く.わが国では身体障害者福祉法が制定されて30余年経ち,日本リハビリテーション医学会も近く20周年を迎える.日本のリハビリテーションは一時の流行から,社会に根づいたと言える.しかし日本リハビリテーション医学会の認定する専門医はまだ少数であり,官公立大学にリハビリテーション医学の講座が開かれているところはない.厚生省の認める標傍診療科名には,今なおリハビリテーション科の名はない.その上石油ショック後の福祉見直し論は,行政改革ムードによって一層力を得たように見え,いまやわが国のリハビリテーションも正念場に立たされていると言えよう.
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