Japanese
English
特集 老人
精神老年医学Psychogeriatricsについて
Psychogeriatrics.
江藤 文夫
1
Fumio Eto
1
1東大病院老人科
1Department of Geriatrics, University of Tokyo Hospital.
キーワード:
老年医学
,
老年期精神障害
,
地域ケア
Keyword:
老年医学
,
老年期精神障害
,
地域ケア
pp.901-906
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104830
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
老年医学は英国において発展した新しい専門的臨床部門であるが,それは「老年者の健康と自立性を維持し,病気と障害disabilityの管理に関する臨床的,社会的,予防的,回復的要素を取扱う一般内科の分科」と定義される1).回復的要素とはリハビリテーションの過程を意味する.要するに老人のリハビリテーションを専門に含む内科である.一方,近年における老年人口の増加は,精神科領域においても痴呆を主徴とする老年患者の増加を生み,さらに脳器質性精神障害が多いだけでなく,青壮年期に発病し精神病院で老年期を迎えた一群も増加し,いずれも循環器,呼吸器その他の内科的疾患を合併しやすいという状況を生じている.このことから内科医と精神科医の協力による診療体制の必要性が認識され,psychogeriatricsあるいはgeropsychiatryといった新しい領域が発展しつつある.
老年者の障害は身体的,精神的,社会環境的要素の複合により成立つ場合がほとんどである.後者は老人科でも精神科でも重大性が十分に理解され総合的取組みがなされつつあるが,より総合的な精神老年医学の臨床的取組みについて考えてみることは,リハビリテーションに携わる者にとっても有用なことと思われる.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.