Japanese
English
特集 老人
老化の機構
Mechanism of Biological Aging.
山田 正篤
1
Masa-atsu Yamada
1
1東京大学薬学部
1Department of Physiological Chemistry, Faculty of Pharmaceutical Sciences, University of Tokyo.
キーワード:
生体老化
,
真核生物
,
分子生物学的機構
Keyword:
生体老化
,
真核生物
,
分子生物学的機構
pp.881-887
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104827
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はじめに
洋の東西を問わず,古来「不老長寿」の薬の創成が渇望されてきた.しかし,現在に至るまで,人の老化を直接制御するような薬剤を作り出すことには必ずしも成功していないが,社会の発展と共に,人類の寿命はしだいに伸びてきている.とくに,わが国では第二次大戦後,世界に類をみない程急速に高齢化が進行し,昭和56年度には日本人の平均寿命は,男子73.79歳,女子79.13歳に達し,世界最長寿国のひとつになっている1).図1に昭和56年度の各年齢の人があと何年生きられるのかという平均余命を示してある.この図において0歳の平均余命が日本人の平均寿命と表現されるのである.
このように,わが国では巧まずして「長寿」を果すことができたものの,そのために急速に高齢化する社会への対応策を建てることが急がれている.これに対して,当然,老齢年金,老人保健制度,定年延長などの社会的な対策が前面にでなければならないが,同時に「不老」をめざす老化制御の研究が大切であり,その基礎として,生体の老化機構そのものの理解が必要となってきている.
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