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はじめに
1981年の国際障害者年も間もなく終ろうとしている.そして最近はそろそろ「国際障害者年とは何だったのか」というテーマの記事や特集があちこちに見られるようにもなってきた.それらは「お祭騒ぎに終ってみるべき進歩は何もなかった」という否定論から「やはリ貴重な一歩前進であった」という評価にいたるまでの様々な立場や意見を反映して多彩である.筆者自身も「国際リハビリテーション交流セミナー」(10月)と国際障害者年日本推進協議会の「国際障害者年記念国民会議」(11月)の2つの催しの準備に参加し,特に後者については昨年12月の「プレ国民会議」以来ほぼ1年間を通じて推進協の「長期行動計画」の「医療の問題」の部分の策定に携ってきたし,また労働省,通産省等々の臨時の委員会,研究会などにも関係してきたが,その中で上に述べたような両極端の評価の間に心が揺れ動くのを禁ずることができなかった.
それはともあれ,筆者に与えられたテーマは「国際障害者年と今後のリハビリテーション医学の展望」であり,これは次の2つの問題を含んでいるように思われる.すなわち,ひとつは「国際障害者年はリハビリテーション医学の世界にとってどういう意味をもっていたか」であり,第2は「それは今後のリハビリテーション医学の進路にどのような影響を及ぼすか」あるいは「及ぼすべきか」という問題である.いずれにせよ大変大きな問題であり,国際障害者年自体がまだすべて終結したわけではなく,また筆者の経験も限られており,これらを過不足なく論ずることは殆ど不可能に近い.そのため,以下筆者としては狭い経験の中から,できる限り一般的な意味のあると思われるいくつかの点を抽出して論じていくことに限ることをお許しいただきたいと思うものである.
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