巻頭言
これからの地域リハビリテーション活動―国際障害者年を迎えるにあたって
澤村 誠志
1
1兵庫県リハビリテーションセンター
pp.775
発行日 1980年10月10日
Published Date 1980/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104398
- 有料閲覧
- 文献概要
患者は,病院での急性期での治療からリハビリテーションなどのサービスを受けたのち結局は在宅障害者として地域社会のなかで生活することになる.以前は重度の障害が残存した場合,地域と隔離された施設に収容する施策が主としてとられたが,最近では,地域社会の共同責任において社会連帯感のもとに障害者を生活組織のなかに組み入れた形でこれを援助し,積極的な社会への生きがい参加の道を開こうとする本来の姿が少こしづつ認識される地域の時代となっている.これは来年度の国際障害者年のテーマ“障害者の完全な社会参加と平等”そのものに通ずるものであるが,これを現実化するには各地域でどのような具体的なメニューを作るかである.そこで,地域活動について,私見をのべてみたい.
この地域活動の必要が強調されてきた背景には,老齢化社会への移行,障害の重度化,重復化など疾病構造の変化,核家族化の傾向に障害者自体の社会参加への意識変化,病院看護婦,保健婦,セラピストなどの関連医療職種の人達の地域志向,地域医療と福祉の縦割り行政の谷間を埋めようとする意識などがあげられよう.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.