学会報告
第14回九州リハビリテーション医学懇話会―昭和55年3月2日,於・産業医科大学病院
緒方 甫
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
pp.761-766
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104393
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《特別講演》
運動療法の基礎
産業医科大学生理学 白木啓三
トレーニングとは人間に一定の負荷を与えることによって人間の能力に望ましい発達を惹起させる過程と考えられる.身体活動により神経系,筋・骨格系,循環呼吸系及び代謝系に種々な反応が起こるが特にエネルギーバランスについて述べた.運動療法を行う意義として患者の体重をより良い状態に維持し,循環系への負担を少なくすることも大切である.従って摂取カロリーと消費熱量とのバランスを考慮することは重要である.代謝活性組織量を基礎にした栄養素の所要量の算出方法が合理的である.そのためには細胞内液量の推定が必要であるが年齢,性を考慮した比較的簡単な方法を提案した.消費熱量の算定方法としては呼気ガス分析法があるが,1日の全消費熱量算定法としてはエネルギー代謝率(RMR)を利用することも出来る.RMR法は健康人を基礎に求められるので,基礎代謝量や運動効率に健康人と差があるような疾患にはそのまま応用するには問題がある.一定基準を得ることにより臨床医学にも応用出来る1日の消費熱量算定法として,脈拍数計数法がある.これはある範囲内の仕事量であれば,脈拍数がエネルギー消費量との間に各個人が一定の直線関係を持つことを基礎としている.
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