学会報告
第29回関東地方リハビリテーション医学懇話会―昭和55年7月5日,於:順天堂大学
大井 淑雄
1
1自治医科大学リハビリテーションセンター・整形外科
pp.70-72
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104477
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1.リハビリ病院におけるいわゆる問題患者について
――心理的側面からの検討(1)――
慶応義塾大学月が瀬リハビリセンター
本田哲三 酒井 忍 斉藤正也
慶応義塾大学医学部リハビリセンター
千野直一
同 精神神経科
保坂 隆 乾 吉佑
日常のリハビリ訓練において,一般的な身体面優位のアプローチではプログラムが進まない患者に遭遇する.この種の「問題患者」は,その原因から1)器質的脳障害患者,2)精神障害患者,3)心理的問題患者に分類される.さらに「心理的問題患者」に検討を加えると,主な問題点からⅰ)トラブルメーカー,ⅱ)意欲の低下が著明な患者,ⅲ)訴えと比べて器質的所見に乏しい患者,に分けられる.この各群に対するアプローチ上の注意点は,i)に対しては,スタッフが対応に戸惑い一方的な非難に終始しがちであるが,患者のバックグラウンドをふまえて問題行動を理解するように努める事が重要である.ⅱ)に対しては,単なる激励は逆効果になることがあるので注意を要する.ⅲ)に対しては,従来のスタッフによるアプローチでは不充分で,精神心理の専門家の参加が必要である.以上の心理的問題患者3群に対する我々のアプローチにより,i)が最も問題行動の改善を示し,ⅲ)が最も不良であった.
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