学会報告
第24回関東地方リハビリテーション医学懇話会―昭和54年3月10日,於・慶応大学医学部講堂
千野 直一
1
1慶応大学医学部リハビリテーションセンター
pp.157-160
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104278
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《一般演題》
1.自損による両側大腿切断者のリハビリテーション
慶応大学医学部リハビリセンター
小田典雄 千野直一
鉄道弘済会身障センター
稗田正虎
両側大腿切断者を機能的歩行へもっていくことが難しいことは周知の通りであり,ましてその患者が精神的障害を持つ場合は,受けた機能障害による精神的ダメージも大きく,基本にある精神障害とあいまって,リハビリアプローチを一層困難なものとしている.しかし実際には,精神障害者が自損行為により,この種の機能障害を負うことは希ではなく,考えておかなければならない問題であろう.今回われわれは,46歳女性の分裂病患者が自損により,両側大腿切断となったケースにおいて,リハ医,精神科医などを中心としたアプローチにより,機能歩行にまで成功したので報告した.一般に,義肢装着の不適応として,意欲の欠如など,いくつかがいわれているが,今回は,われわれのケースで感じた精神障害者に対するリハビリプログラムの注意点を次のように検討した.
1)リハビリゴールの設定:まず容易に可能なことを行い,自身と意欲を導く.
2)精神神経科医との綿密な連携:向精神薬でのコントロール
3)肉体的疲労や,精神的なストレスに注意
4)他の切断者や歩行障害者との接触
5)精神障害者であることによる他の患者への影響
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