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はじめに
「作業活動(ワーク・アクティビティ)センター」は,欧米諸国で発達した重度障害者のための通所施設である.わが国では,作業活動センター,作業活動プログラムといった用語はなじみが薄く,その実践も未だ試行の段階に留まっているといってさしつかえない.
先行研究としては,横浜市立大学医学部リハビリテーション研究会による実験プロジェクトの報告,松井亮輔氏による欧米諸国の事情の紹介,などを散見するのみである.
米国精神薄弱児協会では,「作業活動プログラムとは,学齢以上の障害者で,知的,社会的,情緒的,身体的に,一般の職場での就労や社会生活が困難な人たちが,できるだけ他の人に依存することなく生活できるように,基本的な日常生活の訓練や社会適応性の助長を行い,潜在的能力が十分発揮されるように計画されたリハビリテーション・サービスである」と規定している.
松井亮輔氏は,「作業活動センターは,ワークショップから賃金を目的とした作業という概念を除外して,重点を雇用の可能性の乏しい重度障害者の生活を充実させる諸活動の提供においた社会福祉施設である」と述べている.
養護学校教育の義務制実施に伴い,教育対象は著しく重度・重複障害化している.学校教育終了後の適切な進路の確保は,障害者福祉における緊急の課題である.
近年,全国各地で,重度障害者,すなわち一般の職場で就業することが困難な,就労上のハンディキャップの著しい障害者を対象とした,多種多様な成人通所施設が設置され,独自な実践を展開している.
本報告は,東京における成人通所施設の推移と動向を検討することにより,わが国の実情に即した「作業活動センター」の何たるかを明らかにすることを意図したものである.
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