特集 新しい病院への芽ばえ
新しい医療の試み・5
PL東京健康管理センター
松岡 茂
1,2
,
桂 戴作
,
松岡 研
,
河部 康男
,
管沼 源二
,
八坂 敏夫
1PL東京健康管理センター
2長崎大学
pp.38-41
発行日 1972年1月1日
Published Date 1972/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204544
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今日の医学界で解決を迫られている問題は数多くあるが,そのなかでも特に癌,脳血管障害,心臓病などのいわゆる成人病治療の困難性は,大きくわれわれの前途に立ちはだかっている.また一方では,医学の進歩に伴う細分化や,特にME機器の開発による自動化は,一歩あやまれば人間不在・患者不在の方向に陥る危険性を内包しているとも考えられ,ますますその様相を複雑にしている.更には心臓移植に象徴されるように,医学の進歩そのものが,新しい意味での医の倫理性をわれわれに投げかけている時代でもある.
このように考えてみると,今日ほどこれらの問題を統合して真の医学の樹立——それは医の倫理性を含めて人間尊重の医学1)——を要求されている時代はないといってよいだろう.そして人間尊重の医学とは,生命の絶対性を考えるときに,それはほんとうの意味での予防医学を指しているのである.この小文の目的はこのような点について,われわれの考えの一端を述べ,更にこの考えに基づいて出発したPL東京健康管理センターの概要を述べてみたい.
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