Japanese
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研究と報告
把握以外の静的な手の使用様式―(その2)動作課題と手のフォーム
Positional Patterns of Normal Hands for NonPrehensile Activities: (Part Ⅱ) Activity-Posture Relations.
鎌倉 矩子
1
,
松尾 道子
1
,
三星 文子
2
,
三浦 頼子
2
Noriko Kamakura
1
,
Michiko Matsuo
1
,
Fumiko Mitsuboshi
2
,
Yoriko Miura
2
1東京都老人総合研究所
2東京都養育院付属病院
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology.
2Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital.
キーワード:
手
,
非把握
,
手のフォーム
Keyword:
手
,
非把握
,
手のフォーム
pp.859-871
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104229
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はじめに
手が把握以外の目的で使われる際どんなフォームを選ぶかはあまり知られていない.正しいフォームの獲得はより良い機能獲得の基礎であるから,このような知識の不足は,患手の機能訓練を系統的に行なうことの困難の一因となっている.また,限られた肢位しかとり得ない患手に対して,機能制限の範囲を予測することも困難である.
Herig(1934)1)は,その著書「手と機械」の中で,手の用途とフォームの関係を示すいくつかの挿し絵を掲げている.しかし,そのような関係がつねに成り立つかどうかは不明である.Yamashita and Mori(1963)5)が手作業の分類の項で示したフォームと用例の関係についても同じことがいえよう.長尾(1971)4)は独自の分類・記載法を用いて日常の手指動作を分析したが,その関心は,把握・非把握の各型の,出現頻度という点に向けられていた.
われわれは,本論(その1)3)で発表した分類・記載法を用い,できるだけ多くの具体的課題について,健常者が採用する手のフォームを,個人差や機会差のばらつきを含めて明らかにすることにした.またできれば,課題とフォームの関係をより普遍的にとらえる方法も探すことにした.
この研究は,考え方・方法ともに,既発表の「健常手の把握の様式」(1978)2)をひきつぐものである.
なおここで非把握的課題とは,対象に働きかける能動的な手のほか,他手の動作対象となる受動的な手,ジェスチャーなどの社会的約束としての手も含んでいる.
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