Japanese
English
特集 熱傷のリハビリテーション
熱傷の初期治療
Primary Care of Burns.
穴沢 雄作
1,2
,
永田 雅文
3
Yusaku Anazawa
1,2
,
Masafumi Nagata
3
1順天堂大学外科
2公立葛南病院
3公立葛南病院外科
1Department of Surgery, School of Medicine, Juntendo Uuiversity.
2Katsunan Municipal Hospital.
3Department of Surgery, Katsunan Municipal Hospital.
キーワード:
熱傷
,
初期治療
Keyword:
熱傷
,
初期治療
pp.265-269
発行日 1979年4月10日
Published Date 1979/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104134
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はじめに
重症熱傷の救命率は著しく向上したが,熱傷による皮膚醜形の問題はかえって増大している.重症熱傷では局所治療より全身治療を優先させること,広範囲では自家植皮が不可能で異種植皮や複雑な局所治療を要すること,局所感染による治癒の遷延化,高度浮腫には減張切開を行なう,などの諸点は何れも創面の上皮化,創治癒には不利な因子である.瘢痕による醜形と機能障害は熱傷治療上の大きな問題となっており,従来,救命できれば瘢痕は致し方ないとされていたが,患者にとってはむしろ死に勝る苦しみであるといわれている.それゆえ.リハビリテーション誌に熱傷がとり上げられた意味は大きいと思う.
熱傷に興味をもつ一群の人々は,本症は速やかに移送し,専門家に委せよというが,本邦ではどこにもBurn Center,Burn Unitsもなく,専門家も至って少ないのでこれは我田引水にすぎず,わが国では臨床医が熱傷の正しい冶療法を知り,どこででも適正な初療を行なうように努めねばならない.また,熱傷の研究は,わが国ではごく少数の施設で行なわれているにすぎず,独創的業績も皆無に等しい.興味はもたれているが基磯的研究の成果を熱傷に応用する程度の研究が発表されているのが現況である.
一方,公衆衛生の向上,防災対策の質的改良によって発生頻度は激減してきた.従って,研究,治療とも外科のトピックではなくなって,本症は救急を主とする外科の特殊施設で扱われており,漸次,皮膚科,形成外科へ重点が移行している.
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